News & Stories

Stories
The Brilliance of The River
2021.02.04

インターカルチャーアートでは、クライアントからご依頼いただいたプロジェクトを進めていくプロセスを5つのフェーズに分けて取り組んでいます。先日オープンした「ザ・ゲートホテル両国 by ヒューリック」のレストランに納めたガラスビーズのシーリングアートの立案から完成までのプロセスをご紹介します。

#1-Project Consulting
隅田川沿いに新たにオープンしたザ・ゲートホテル両国は、川沿いという立地を生かし、川辺に面したレストランが配置され、「川の流れと共にゆったりと寛げる時間」を創造することをインテリアデザインのコンセプトとして掲げられました。インテリアのコンセプトやデザインを拝見し、ICAがアートディレクションとして考えたことは、「時間のながれ」の象徴として「水」をテーマとすること、そして、そこから「流れ」「きらめき」「波紋」「循環」など、「水」を想起させるカタチに変換していくことでした。インテリアデザインに寄り添ったアートディレクションを打ち出すことは、ICAの得意とするところです。

#2-Design Development
当ホテルのメインエリアとなる、リバーサイドレストランには、吹抜け空間が計画されていて、そこに何か吊り下げるアートを提案して欲しいというご要望がありました。「水」や「時間」というコンセプトストーリーをどのようなマテリアルで表現するか、あるいは、どのような作家のインスタレーションがインテリアの設えやコンセプトストーリーにはまるのか、リサーチ&検討を始めました。初期段階のディレクション業務はとにかく可能性を広げ、いろいろなアイディアを拾い上げ、発展できる可能性を模索します。今回は段階的ですが、4名ほど作家候補をたてたプロポーザルや、ICAデザインによるプロポーザルを織り交ぜ、提案を進めていきました。最終的に決定した案が実際にインスタレーションした、無数の「ガラス」を吊り下げ、川のきらめきを吹抜け全体に表現する案でした。

#3-Design Fabrication
高さ7m、奥行き14mにもなる大きな空間に、一つ一つは本当に小さなガラスビーズを川のように表現するため、吊る高さ・ガラスビーズの数・アート全体の形状をガラス作家さんと細かく検証しました。初期の段階ではガラスビーズはシンプルな球体を想定していましたが、より光を拡散する形を追求するとゆがんだガラスビーズに辿り着きました。一つとして同じ形はなく、一つ一つガラス職人の手でガラスビーズに歪みをあたえ、唯一無二の集合体へと導いていきます。
余談ですが、雨のしずくは丸でもドロップ型でもなく、このゆがんだガラスのような、不定形につぶれた形で落下しているらしいです。

#4-Production Management
約1万個のガラスビーズを約800本のワイヤーに通し、それらを現場へ搬送し、破損することなく施工する計画を実行するため、梱包の仕方・ナンバリング・梱包の順番など、仕込みや段取りを綿密に打ち合わせながら製作管理を行いました。

#5-Setting & Installation
約800本のワイヤーを7mの天井に吊り下げるインスタレーション。今回は、穴あけから吊り下げまで、アート工事として請け負いました。自走式の高所作業車が入れられず、ローリングタワーでの施工は、吊り下げのタイミングやバラシのタイミングなど、現場での臨機応変な対応が求められました。普段はガラスを吹いている作家さんたちが、慣れない現場で試行錯誤しながら見事に全てのワイヤーを吊り下げ、繊細かつダイナミックなインスタレーションを納品することができました。

Projects > THE GATE HOTEL RYOGOKU by HULIC

ICAは先進的なデザイン手法を取り入れ、制作から施工に至るまで、高い品質を維持するよう、すべてのプロジェクトによって異なる解決策を探ります。アートのストーリー性・空間全体のコンセプトが語りかける空間作りは、世界中のアーティストや施設・工房と連携し、難易度が高い制作と施工を実現するクリエイティブな視点と技術によって実現しています。

Reference > Services