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A Life of Local Wood
2021.03.03

かつてカリタス女子短期大学があった地、あざみ野の中心に建つ、大規模レジデンスのアートプロジェクトを紹介いたします。閑静な楓並木と桜並木が交差する敷地であること、またロビーラウンジは風景を借景していることから、エントランスからラウンジまでの動線を「緑と風が通るプロムナード」として表現すべく、敷地内に生息していたケヤキと紅葉の伐採樹木をアートとして再利用しました。

現場で採取された伐採樹は約数十本。状態を精査して、可能な限り木の表情をそのまま生かすことを念頭に4種類の仕上げを施しました。

エントランスからラウンジを繋ぐアートギャラリーには、一番太い欅を100mm程度の厚みでスライスした後、金箔•銀箔を細かく砕いて表面にまぶす伝統工芸の技法「砂子振り」を用いて製作しました。木目の流れをそのままに、雲の上のような木目の風景を作り出しています。

ラウンジスペースに一対で描かれた壁面作品は魚拓ならぬ木拓です。二番目に太い欅の幹を半分に割ったのち、木の表面を丁寧にこすり、年輪を浮き上がらせる「うづくり」加工を行い、版画の要領で木目を和紙にトレースしています。浮世絵のように、インクを何種類か用意して色付きで仕上げるというのもできるかもしれません。

ラウンジからライブラリーへ続く壁面は、壁面の大きさを逆手に、不規則な形をした丸太を流れるようにランダムに飾っています。オイル仕上げとペイント仕上げの異なる表情が、風に吹かれるように柔らかくインスタレーションされています。

「プロムナード」の終着点、ライブラリーラウンジには、植物や動物の息吹をテーマに有機的な形状と、優しい質感をホテルライクにアートへ落とし込みました。書籍はカリタス女子短期大学のライブラリーにあったものを引き継ぎ、使用されています。「緑と風が通るプロムナード」のストーリーのもと、伐採樹を土地の記憶を引き継ぐ媒体として、また未来への序章として、居住者様に喜んでいただけたらと思います。

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